時事ネタシリーズ(寒波到来で電力不足!?)

2021.1.6 コラム

年末、インターネットニュースを見て驚きました。
最低気温氷点下の予測が全国的に続く中、「電力不足」の問題が起こっているとのこと。

年越し、そして年明けと、日本は十年に一度レベルの大寒波に襲われており、
年末の北陸自動車道で長時間の立ち往生が印象的でした。
被害が大きいのは石川、新潟、福井など北陸地方で九州地方や山陰・近畿地方などでも山間部では雪が高く積もり、三が日が明けてからも思うような身動きが取れない生活を余儀なくされている人が多くいます。

そんな中、2021年の仕事初め、1月4日以降に電力の需給が全国的に逼迫してきているようです。(沖縄を除く)

電力は一定時間内に需要が大きく変動するため、少なくとも余裕(予備率)を3%以上持つ必要があります。つまり使用率が97%を超えることは危険であるとされていますが、ピーク時の使用率が97%を超えるエリアが4つあり、非常に深刻な状態のようです。

年明け以降、連日にわたりこのような状況が続いており、電力各社は相互に電力を融通しあったり、製鉄会社や石油会社など大規模な自家発電設備を持つ企業の協力も得ながら対応しています。企業の自家発電を含む全国の発電設備を「最大出力」で運転し余剰電力を市場に供給するよう、調整機関から異例とも言える指示が1月6日に出されていることからもその深刻さが窺えます。

では、なぜそんな状況になっているのでしょうか??

電力不足の原因の一つは年末から続く寒波のようです。

今シーズンは寒さが厳しい冬です。2020年12月に関越道で大雪による大規模な立ち往生が発生したのは記憶に新しいですが、1月7日に気象庁が発表した1ヶ月予報でも例年より気温が低いとされています。

冬に気温が低下すると、暖房による電力消費が増えます。例えば中部電力管内では気温が1度低下すると電力需要が35万kW増加、供給予備率は1~2%低下すると言われています。それに加え今シーズンは、換気が積極的に行われているため例年より暖房による電力消費が増大している可能性があります。厳冬だった17年度と比べても需要が1.1%多いとの報道もあります。

気温に加え深刻なのが、火力発電所の燃料不足のようです。

2020年の春先から新型コロナの影響で経済活動が大幅に停滞していたため、電力需要が例年より大幅に減少していました。

電力需要が少なかったため、電力各社が燃料の仕入れを減らしてしまった可能性が指摘されています。それに加え、コロナの影響などで燃料の輸送や製造にも一部で影響が生じている点も問題として指摘されています。

2021年1月現在、北海道から九州までの少なくない火力発電所が燃料不足を理由に出力を抑えて運転している状況が続いており、需要面の要因(先に上げた気温低下)とあわせて電力の需給を逼迫を生み出しています。

こうした電力需給の逼迫は、春先まで続く可能性も指摘されています。

日本の電力需要の4割を支えるLNG(液化天然ガス)のスポット市場は、通常「2ヶ月先」に受け渡す商品を売買しています。したがって、今の時点で追加で購入してもすぐに燃料が手に入るわけではありません。

春に近づくにつれて気温も上昇していくため、春先にはひとまず状況が改善に向かっていくのは間違いありませんが、影響が数週間あるいは数ヶ月にわたり継続する恐れもあります。


今のところ政府からの「節電要請」は出ていないようですが、需給が逼迫しているのは事実です。
緊急事態宣言による、リモートワークや巣ごもりなどにより電力の消費に拍車をかける可能性もあります。

「大規模停電」などにならないように、暖房器具の温度を少し低く設定したり、なるべく電気を使わない
ように意識するなどの、一人ひとりの細かい心遣いが必要になってくるのではないでしょうか?

今後、電力不足がどうなっていくのか皆さんもチェックしておいてください。